EYEVAN 7285とは?|歴史・デザイナー・人気モデル・ものづくりを徹底解説
DOWNTOWN JOURNAL / BRAND GUIDE
トップ画像:EYEVAN 7285 アーカイブLOOK(2022年春夏)。掲載元:Mott Optical Group。
EYEVAN 7285(アイヴァン 7285)の眼鏡は、少し離れて見ると、とても自然な佇まいをしています。
すっきりしたウェリントン。細いメタルのオーバル。顔に収まりのよいコンビネーション。ところが近づいてみると、丁番の形、金属の断面、鼻元の組み立て方など、見慣れた眼鏡とは違う部分が次々に見つかります。
その細部には、古い道具に学んだ形や、掛け心地を考えた機構、鯖江の職人による加工が息づいています。掛けたときの格好よさと、手に取って眺めたくなる面白さ。その両方を持つことが、EYEVAN 7285の魅力です。
この記事では、ルーツであるEYEVANの歴史から、デザイナー・中川浩孝の人物像、主要5レーベルの違い、著名人の着用で知られるモデル、そしてDOWNTOWNの商品写真で見るディテールまで、順を追ってご紹介します。
この記事でわかること
- 1972年のEYEVANと、2013年のEYEVAN 7285の関係
- 「7285」という名前の意味と、デザイナーのものづくり
- EYEVAN・7285・10 eyevan・E5 eyevan・Eyevolの違い
- 319・363・197・376、それぞれに表れるブランドの個性
- 接写でわかる、フレームの構造と仕上げ
◎EYEVAN 7285とは?|2013年に生まれた、日本のアイウェアブランド
EYEVAN 7285は、1972年に始まったEYEVANのものづくりを受け継ぎ、2013年に誕生した日本のアイウェアブランドです。デザインを担うのは中川浩孝をはじめとするチーム。製造は、福井県鯖江市の眼鏡づくりの技術を背景に行われています。
ブランド名の「72」はEYEVANが誕生した1972年、「85」は世界進出を果たした1985年に由来します。初期のEYEVANが築いた発想や製品への敬意を、名前に残しているのです。
大切なのは、過去の製品をそのまま復刻することだけを目的としていない点です。古い図面や眼鏡から学びながら、現在のデザインチームが美しいと感じるものを、現在の技術で形にする。EYEVAN 7285の一本には、昔から続く感覚と、いまだから実現できる構造が共存しています。
参考:EYEVAN 7285「Brand」、GRIND「the Force from GRIND vol.109」
◎そもそもEYEVANとは?|「着る眼鏡」が変えた、眼鏡とファッションの関係
1972年|洋服のように、眼鏡を選ぶ
EYEVANの出発点は、1972年に掲げた「着る眼鏡」というコンセプトです。山本防塵眼鏡、現在の山本光学を背景に、石津謙介が率いたVAN JACKETと関わるファッションアイウェアとして始まりました。
視力を補うために必要なものだった眼鏡を、服装や場面に合わせて選ぶものへ。眼鏡によって顔の印象が変わり、着こなしも変わる。その楽しさを提案したことが、EYEVANの歴史を考えるうえで欠かせません。
今でこそ、仕事用と休日用で眼鏡を替えたり、洋服に合わせてサングラスを選んだりするのは身近なことです。EYEVANは早くから、眼鏡をそうした装いの一部として扱ってきました。
1985年|日本の眼鏡づくりが、海外へ
1985年、EYEVANはアメリカ・アナハイムで開催された展示会「Opti Fair West」に出展し、海外展開を進めます。1989年にはロサンゼルスのOliver Peoplesとの製造・販売に関するライセンス契約を締結。公式の年表には、1992年にマドンナのEYEVAN着用がアメリカの雑誌『PEOPLE』に掲載されたことも記されています。
これは、EYEVAN 7285が誕生する以前のEYEVANの歴史です。日本の眼鏡づくりとファッションを結びつける姿勢が、すでに海外にも届いていたことがわかります。
2003年の休止から、二つの再出発へ
EYEVANは2003年にブランドの開発を一時休止。その後、2013年にEYEVAN 7285が始まり、2018年には「EYEVAN」自体も再始動します。
この順序を押さえると、現在のブランドの関係が理解しやすくなります。EYEVAN 7285は、EYEVANの歴史から生まれた独自のコレクション。現在はEYEVANと並んで、それぞれの方向性で展開されています。
参考:EYEVAN公式「History of EYEVAN」、EYEVAN Inc.公式年表
◎デザイナー・中川浩孝|形と構造の両方から、眼鏡を考える

EYEVAN 7285を知るうえで欠かせない人物が、デザイナーの中川浩孝(Hirotaka Nakagawa)です。10 eyevanのデザインも手がけています。
フイナムのインタビューによると、中川は機械工具業界でキャリアをスタート。その後、眼鏡店での仕事や自身のブランド運営を経て、アイヴァンに入社しました。デザインを描くことに加え、実際に使う道具や、それを販売する現場にも接してきた経歴の持ち主です。
同インタビューでは、7285のデザインに携わるなかで、既存のパーツに対する改善のアイデアが蓄積していったことが語られています。それをさらに突き詰めた展開が10 eyevanにつながりました。
この経歴を知ってから7285を見ると、小さな金属部品にも目が向きます。フロントとテンプルをどうつなぐか。鼻元にどのような部品を置くか。そこに必要な機能を持たせると、外観はどう変わるか。眼鏡の形と構造を一緒に考える視点が、製品を読み解く手がかりになります。
中川の名前を冠した個人ブランドではなく、EYEVANが蓄積してきた資料、デザインチーム、製造に携わる人々によって成立していることも、7285らしい成り立ちです。
参考:フイナム・中川浩孝インタビュー、ARKnets・両ブランドのデザイナー来店案内
◎主要5レーベルの違い|EYEVAN 7285は、どんな位置付け?
EYEVANをルーツに持つレーベルのうち、ここではEYEVAN、EYEVAN 7285、10 eyevan、E5 eyevan、Eyevolという主要5レーベルを比較します。選ぶ際は、価格の上下だけでなく、何を重視して設計されているかを見ると違いがつかめます。
| レーベル | 考え方・位置付け | 注目したい特徴 |
|---|---|---|
| EYEVAN | 「着る眼鏡」を受け継ぐ、ファッションアイウェア | アーカイブを生かしたデザインと、日常の服に合わせて選べる幅広さ |
| EYEVAN 7285 | 自由な造形と、技巧的なものづくりを追求 | 独自の丁番、金属加工、素材の組み合わせ。細部まで楽しむコレクション |
| 10 eyevan | 「美しい道具」を、パーツから考える | ネジ、鼻パッド、テンプルエンドなどの素材・機能・仕上げ |
| E5 eyevan | 日々使う眼鏡として、本質的な機能を追求 | 実用性・機能性・信頼性・柔軟性・耐久性を軸にした設計 |
| Eyevol | ファッションと、活動的な生活をつなぐ | 街からスポーツ、アウトドアまでを考えた軽さ、フィット感、レンズ |
スマートフォンでは表を横にスクロールできます。特徴は各ブランドの方向性を整理したもので、素材や仕様はモデルにより異なります。
なかでも7285は、デザインの発想を製造上の難しさだけであきらめず、職人の技術と結びつけて実現するコレクションです。眼鏡をファッションとして楽しみながら、部品の作り方や意匠の背景まで知りたい人にとって、特に面白い存在といえます。
参考:EYEVAN Inc./7285、10 eyevan、E5 eyevan、Eyevol。グループには、この5レーベル以外の関連ブランドもあります。
◎EYEVAN 7285らしさを作る、3つの視点
1|眼鏡以外のものから、デザインを見つける
ブランド公式が挙げる着想源には、古い眼鏡だけでなく、望遠鏡や手鏡、建築、自然物も含まれています。1940年代のフランス製フォークからテンプルを考えたり、1970年代の視力検査枠の構造を取り入れたり、日本の寺院の唐草模様を小さな部品に用いたり。その参照先は実にさまざまです。
こうした背景を知ると、モデルを見るときの楽しみ方も変わります。丸いか四角いかだけでなく、テンプルの線や金属の模様が何を思わせるか。一本の眼鏡を、少し違った距離から観察したくなります。
2|接合部や鼻元まで、デザインする
眼鏡には、レンズを支えるリム、左右をつなぐブリッジ、テンプルを開閉する丁番など、役割を持った部品があります。7285では、そうした部分が外観の個性にも直結しています。
たとえば、後ほど紹介する319の丁番にはフライトジャケットのジッパーに由来する発想があり、376では鼻に接する部品を選択する構造そのものが、独特な表情を生み出しています。見た目と機能を別々に考えず、小さな仕組みから全体を作り上げているのです。
3|掛けた姿と、近くで見る姿に違いがある
遠目には整った輪郭が見え、近くでは加工や部品の特徴がわかる。この二つの見え方を楽しめることも、7285の面白さです。
たとえば黒いメタルフレームなら、着用時には顔を引き締める細い線として見えます。手元で角度を変えると、丸いレンズに対して四角く作られた接合部や、細かな段差が現れる。その発見が、長く使ううえでの愛着につながっていきます。
参考:EYEVAN 7285「Brand」。以下では、公式のモデル解説とDOWNTOWNの写真をもとに具体例をご紹介します。
◎代表モデル1|319――綾野剛の『MIU404』着用で知られるウェリントン

著名人の着用を入口に7285を知った方にとって、まず思い浮かぶモデルのひとつが319ではないでしょうか。
2020年のドラマ『MIU404』で、綾野剛が演じる伊吹藍の着用モデルとして知られています。眼鏡情報メディアGLAFASは、関係者への取材によって品番を確認したと報じています。スクエアウェリントンの端正な輪郭が、役柄の装いのなかでも印象を残しました。
319の面白さは、正面の形に加えて、フロントとテンプルが合わさる部分にあります。公式によると、丁番と平座金の形はヴィンテージのフライトジャケットのジッパーから着想を得たもの。平座金で力を受ける面積を広くし、緩みにくさにも配慮しています。
フロントに配された角を丸めた四角いカシメ飾りも、程よいアクセント。服に合わせやすい形のなかに、近くで見てわかる工夫がある。319は、そのバランスを理解しやすい一本です。
着用情報:GLAFAS「ドラマ『MIU404』綾野剛のメガネ」。構造:公式319。劇中のレンズやカラーと、各販売商品の仕様は個別にご確認ください。
◎代表モデル2|363――山口一郎が愛用する、エッジの効いた黒縁


音楽とファッションの両方に独自の美意識を持つ、サカナクションの山口一郎氏。彼が私物として愛用しているのが、363のブラックです。
FASHIONSNAPの「2025年ベストバイ」では、2025年の年明け頃に手に入れ、サングラスの新たな定番になった一本として紹介されています。山口氏が惹かれたのは、まっすぐ伸びるテンプルと、フラットな印象のフロント。髪が掛かっても印象が変わりすぎず、それでいて少し個性がある形を選んでいるそうです。
着用写真では、黒いフレームが目元にくっきりとした輪郭を添えています。淡いカラーレンズ越しに表情が見えるため、厚みのある黒縁でも重たく見えすぎない。そのバランスが、山口氏の落ち着いた装いによくなじんでいます。
363の見どころは、鋭いエッジを残しながら、表面には美しい艶を与えていること。ブランドによると、通常の5倍以上の時間をかけた職人の手磨きで仕上げています。面を丸めすぎずに磨くことで、光が当たるたびに輪郭が浮かび上がる、立体的な表情が生まれます。
オリジナルの丁番には10金のピンを採用。大きな装飾を加えるのではなく、黒い面の仕上げと小さな金属の輝きで存在感をつくっています。サイズは47□24-145。319と同じ黒縁でも、363は角と面の美しさから7285のものづくりを感じられるモデルです。
私物・着用情報:FASHIONSNAP・山口一郎氏本人インタビュー。製法・素材・サイズ:公式363。
山口一郎氏のアイウェアを、さらに詳しく。
私物の363に加え、756・1012の着用例と選び方を、写真とともに紹介しています。
◎197で見るメタルの表現|1940年代の形が、今の顔になる

セルフレームの印象が強い方に、ぜひ見ていただきたいのが197です。横長のオーバルとアーチ状のブリッジは、1990年代から2000年代を思わせる佇まい。その一方で、公式によると、形の着想源は1940年代のヴィンテージフレームにあります。
過去のどの時代を参照するかと、現在どのように見えるかは、必ずしも一致しません。197はその面白さをよく示しています。曲線的なレンズに対し、リム、智、テンプルを直線的なパーツで構成することで、全体に引き締まった印象を加えています。

写真では、レンズを囲む細い輪郭と、横へ伸びる四角い接合部の違いに注目してください。col.805のマットブラックは色の主張が控えめなぶん、輪郭やパーツの形を見比べやすいカラーです。
フロントはチタン、テンプルはβチタン。サイズは48□22-141です。繊細な見た目を好みながら、ラウンドとは少し違う横長のバランスを試したい方に、比較していただきたいモデルです。
参考:公式197。掲載するDOWNTOWNの商品はクリアレンズ仕様の写真です。公式が説明するサングラス仕様とは区別してご覧ください。
◎376を接写で読み解く|鼻元の構造が、眼鏡の表情を変える

現在の7285がどのようなものづくりに取り組んでいるか。その具体例として紹介したいのが376です。サイズは44□25-145。セルフレームの鼻元に、独自の「チェンジャブル・サドルブリッジ」を備えています。
1|一山の佇まいに、フィットを考える仕組みを加える

写真で目を引くのは、鼻に沿って弧を描く金属パーツです。「一山(いちやま)」とは、一般的な左右二つの鼻パッドの代わりに、ひとつながりの部分で鼻を支える形式。376は、そのクラシックな形式にパーツ選択の仕組みを組み合わせています。
公式では、形状の異なるブリッジを選んで組み上げることで、目からレンズまでの距離である「頂点間距離」を装用者に合わせる構造と説明されています。用意されるのは5タイプで、3タイプが付属、2タイプはオプションです。選択・調整は店頭でご相談ください。
正面から見えるセルのブリッジと、その内側にある金属の曲線。二つの形が重なることにより、鼻元に奥行きが生まれています。掛けるための仕組みが、そのまま見た目の特徴にもなっているのです。
2|内側を見てわかる、パーツと生地の関係

次は、フロントとテンプルがつながる部分です。写真では丁番の連なりと「7285」の刻印、それを囲む生地の厚みが見えます。透明感のあるcol.150800は、濃色のセルでは隠れやすい内部の金属も観察しやすいカラーです。
同じフレームでも、正面では色と輪郭、斜めでは厚み、内側では構成が見えます。セルフレームを選ぶ際に、色だけでなく、どの角度から見た姿が好きかまで考えてみると、候補の比べ方が広がります。
3|フレームとともに考えられた、ガラスレンズ
376のサングラスには、日本製のオリジナル・フラットガラスレンズが採用されています。ブランド公式では、色の調合から行い、溶かしたガラスを一枚ずつ成形して作ると説明されています。
フラットなレンズ面と、丸みや厚みを持つフレーム。その組み合わせも、376の外観を作る要素です。掛けるときにはレンズの濃さだけでなく、反射の見え方や、顔に対するフレームの位置にも目を向けてみてください。
機構・付属品・素材の参考:EYEVAN 7285公式376。写真はすべてDOWNTOWN掲載商品。ブリッジの仕様はこのモデルの説明であり、全モデル共通ではありません。
◎なぜ「現代の工芸品」と呼ばれるのか|鯖江で重ねる約400工程
EYEVANの公式紹介では、7285は鯖江の熟練職人による手作業と機械加工を組み合わせ、約400工程を経て作られると説明されています。「現代の工芸品」という表現は、こうした製造背景に基づくものです。
この数字を、単純に他ブランドとの優劣を決める尺度として見る必要はありません。注目したいのは、それらの工程が何を実現しているかです。細い部品の形を整えること、素材の表面を仕上げること、複数のパーツを組み合わせて、使える一本にすること。接写で見てきた形の背後には、そのための加工があります。
319の丁番、363の鋭いエッジと艶、197のメタルパーツ、376のブリッジ。それぞれのモデルには違った設計があり、写真で確認すべき場所も変わります。7285の価値を知るには、「日本製だから」で止まらず、その一本でどのような工夫が形になっているかまで見ることが大切です。
工程数・製造背景:EYEVAN Inc.公式ブランド紹介。約400工程はブランドによる説明で、各掲載モデルの工程数を個別に示したものではありません。
◎歴史を知り、細部を見ると、EYEVAN 7285はもっと面白くなる
1972年に始まった「着る眼鏡」という発想。1985年の世界進出。そして2013年、その歴史を受け継いで生まれたEYEVAN 7285。
中川浩孝をはじめとするデザインチームは、過去の眼鏡や道具から学びながら、形や構造の新しい可能性を探っています。その発想を、鯖江のものづくりが、日々掛けられる製品へと仕上げています。
まずは気になる形から。そして、丁番やブリッジ、生地の磨きへ。一本の眼鏡をじっくり見る時間まで楽しめることが、EYEVAN 7285を選ぶ魅力です。
EYEVAN 7285の商品を一覧で見る
DOWNTOWNでは、全体のシルエットから細部まで確認できる商品写真とともに、EYEVAN 7285をご紹介しています。