/WAITING FOR THE SUNとは|設立とデザイナー、素材開発と独自のデザインを徹底解説
/WAITING FOR THE SUN(ウェイティング フォー ザ サン)は、2010年にフランス・パリで設立されたアイウェアブランドです。木製のサングラスから出発し、バイオアセテートや再生金属へと素材の可能性を広げてきました。環境への配慮をものづくりの土台に置きながら、日常に取り入れやすい形と、色やディテールの遊び心を追求しています。
魅力は、素材の背景を知る楽しさと、実際に掛けたくなるデザインの両方にあります。創設者2人の役割、木から始まった素材開発、コラボレーションによる表現をたどりながら、後半ではDOWNTOWNで取り扱うモデルの形や仕上げを詳しく紹介します。

01設立とデザイナー
まず、ブランドの中心となる創設者2人と、この記事で紹介するコラボレーションのデザイナーを整理します。
- Julien Tual(ジュリアン・トゥアル):共同創設者。コレクションのデザインとアートディレクションを担当。
- Antoine Mocquard(アントワーヌ・モカール):共同創設者。エンジニアとして素材開発や生産を担当。
- Axel Chay:コラボレーションに参加するデザイナー。彫刻的な家具やオブジェを手がける。
ファッションの視点と、生産技術の組み合わせ
Julien Tualは、ファッションと造形の分野を背景に持つデザイナーです。Christian Lacroixでプリントデザインに携わった経験があり、WAITING FOR THE SUNではフレームのデザインに加えて、ブランドのビジュアルづくりも担っています。
一方のAntoine Mocquardは、生産技術を専門とするエンジニア。素材や製造方法を検討し、デザインを製品として形にする役割を担います。Julienがコレクションを考え、Antoineが生産を支える。異なる専門性を持つ2人が、ブランドの出発点から協働してきました。
新しい素材を使うには、見た目を考えるだけでなく、どう加工し、眼鏡として仕上げるかを詰める必要があります。このブランドが素材開発を継続できる背景には、デザインと生産の両面からものづくりに取り組む体制があります。
「手の届く価格の木製眼鏡をつくろう」という始まり
2人は1990年代の終わりに知り合い、のちにパリでルームシェアをしていました。旅から戻る途中の会話で生まれたのが、手の届く価格で木製の眼鏡をつくるというアイデアです。住まいに戻って試作を重ね、その小さな試みをコレクションへと育てていきました。
初期には、ティーウッドや竹を用いたサングラスを展開。木を選ぶ理由には、再生可能な資源であることに加え、軽さや自然な質感、使うにつれて色が変化する面白さもありました。素材そのものの表情を楽しむ姿勢は、現在のフレームにも通じています。
設立・人物情報:ブランド公式プロフィール/Julien Tualインタビュー/初期の木製コレクション
02ブランド名とデザインの考え方
暮らしのなかで楽しめる、自由なアイウェア
WAITING FOR THE SUNという名前は、The Doorsの同名タイトルに由来します。「太陽を待つ」という言葉を掲げるブランドが大切にするのは、デザイン、使い心地、環境への責任を一緒に考えることです。
その考え方は、華やかなサングラスだけでなく、日々掛けるメガネにも向けられています。端正な丸型やスクエアをもとに、外側の角度を少し変える。フロントとテンプルで太さを変える。透明な生地に、内側の金属を見せる。DOWNTOWNの取扱モデルにも、こうした細部の工夫が見つかります。

Julienの着想源には、旅先の発見や日常の出会い、身近な友人たちの活動があります。公式のLOOKにも、屋外で過ごす時間や、気負わずサングラスを掛ける姿が登場します。眼鏡を大げさに見せる演出よりも、服装や過ごし方と一緒に楽しめる雰囲気が印象的です。
写真の中の自然な掛けこなしを見てから、製品の形へ目を戻すと、このブランドのバランスが分かりやすくなります。輪郭や色には個性がありながら、眼鏡だけが服装から浮いて見えにくい。その距離感を、モデルごとに異なる方法でつくっています。
ブランド名・コンセプト:公式マニフェスト/着想の背景:Julien Tualインタビュー
03木製フレームから始まった素材開発
BOIS²:木の粒子を、新しいフレーム素材へ
WAITING FOR THE SUNの歩みを知るうえで欠かせないのが、2013年秋に発表した独自素材「BOIS²(ボワ・ドゥ)」です。木材を使ったフレームづくりの経験から生まれました。
BOIS²は、洗浄して粒の大きさをそろえたおがくずを、植物由来のアセテートと混ぜ合わせた素材です。木の細かな粒子が生地の表情になるため、一枚の木を削り出したフレームとは異なる質感を生みます。
原料としての木を別の形で使い、眼鏡の見た目にも生かす。BOIS²には、このブランドならではの素材への関心がよく表れています。のちに使われるバイオアセテートと区別して知っておくと、木製フレームから現在のコレクションまでの変化が理解しやすくなります。
BOIS²の開発:公式ブランドヒストリー/素材の構成:Julien Tualインタビュー
バイオアセテート:透明感や艶も楽しめる素材
現在のコレクションの中心となる素材の一つが、木材由来の繊維を原料とするバイオアセテートです。加工時に生じる端材を回収し、一部を原料の製造工程へ戻す取り組みも行っています。
BOIS²が木の粒子の表情を生かすのに対し、バイオアセテートでは、クリアカラーの透明感や磨かれた面の艶も楽しめます。素材開発の背景がありながら、手に取ったときの魅力は、色の奥行きや滑らかな形として感じられるものです。
生分解性も、この素材の特徴です。生分解性の評価にはISO 14855に基づく試験が用いられ、分解には工業的なコンポスト処理の条件が関わります。フレームの原料から使用後の処理まで考える姿勢が、素材の選択に反映されています。
素材・回収の取り組み:日本公式の素材解説/生分解の条件:公式マニフェスト
再生金属とBeta Steel:細い線でも表現する
金属のフレームにも、再生素材を取り入れています。Beta Steel(ベータスティール)は、ステンレススティールを用いるコレクションです。ドイツで製造する金属部材を使い、フレームの最終製造は韓国で行っています。
太さや透明感を見せるアセテートに対して、メタルは細い線でレンズの輪郭を際立たせます。さらに、アセテートと金属を組み合わせれば、面と線を同じフレームのなかで使い分けることができます。素材の違いが、デザインの幅にもつながっているのです。
フレーム以外にも、キャッサバを原料とする包装袋や、再生素材を使うケースなどを採用。素材への配慮を、製品を包むものにまで広げています。
金属素材・製造背景・付属品:日本公式の素材解説
04コラボレーションの魅力
AXEL CHAY × WFTS:黒いフレームに、ピンクと金属のアクセント
WAITING FOR THE SUNは、外部のデザイナーとの協働でも表現を広げています。具体的な例が、彫刻的な家具やオブジェを手がけるAxel Chayとのコラボレーションです。2024年の初回に続き、2025年には100本限定のエディションを発表しました。

正面から見ると、レンズの上側には直線に近いラインがあり、外側の上部には角を残しています。下側は丸く、黒いフレームの面をしっかり見せる構成です。そこに淡いピンクのレンズを合わせることで、輪郭の強さと色の柔らかさを両立させています。

ディテールには、シルバーとゴールドの2色のリベットを採用。テンプルの先端にも金属のインサートを配しています。黒い生地の上に小さな金属の点が入ることで、フレームの端や接合部分へ自然に目が向きます。
バイオアセテートを使いながら、彫刻的な輪郭や色の対比まで楽しめる。素材の取り組みとファッションとしての魅力を、ひとつの製品で感じられる好例です。
コラボレーションの背景と仕様:AXEL CHAY × WFTS 公式製品紹介
05DOWNTOWNの取扱商品で見るデザイン
ここからは、DOWNTOWNで取り扱うモデルをご紹介します。透明な多角形フレーム、異素材を組み合わせたサングラス、過去のモデルを再構築するarchive collection。素材や形への考え方が、それぞれ違う表情で現れています。
MARGAUX col.E10|角をやわらげた多角形と、透ける芯金

MARGAUXは、丸みを帯びた線で多角形をつくるモデルです。上辺は比較的なだらかで、下側へ向かう途中に角度の変化があります。スクエアほど四角く見えず、ラウンドとも違う。輪郭の変化を控えめに楽しめる形です。
col.E10には、薄いクリアグレーのバイオアセテートを採用しています。淡い色がフレームの輪郭を強く出しすぎず、光を通すことで、角を持つ形にも軽やかな印象を与えます。

横から見ると、テンプル内部のシルバーカラーの芯金が透けています。外側に飾りを加えるだけでなく、内部の構造も見た目の一部にしている点が魅力です。透明な生地だからこそ、金属の線や厚みの違いまで楽しめます。
RAF|細いメタルフロントと、幅のあるテンプル

RAFでは、フロントとテンプルの太さの違いに注目したいところです。正面はシルバーカラーの細いメタル。横長のレンズシェイプを金属の線で囲み、すっきりとした表情に仕上げています。

一方、テンプルには幅のあるアセテートを組み合わせています。正面から見たときは繊細で、横顔では面の存在感が出る。この見え方の変化が、RAFの特徴です。つなぎ目の細い金属と太いテンプルを見比べると、異素材を組み合わせる面白さがよく分かります。
col.E5は、クリアブラウンのテンプルとグリーンレンズの組み合わせ。金属の光沢に、茶色と緑の落ち着いた色調を添えています。

col.E81は、テンプルのべっこう柄がアクセントになります。E5の透ける茶色と、E81の柄による表情。同じフロントの形でも、テンプルの色や柄によって雰囲気が変わります。
RAF col.E5を見る → RAF col.E81を見る →
archive01 col.E02|8mm厚の生地で描く、小ぶりなボストン
archive collectionは、ブランドが過去に発表したモデルをもとに、形や構成をあらためて見直すシリーズです。既存のデザインを受け継ぎながら、厚みやディテールに変化をつけています。

archive01は、小ぶりなボストンシェイプと厚みのあるフレームを組み合わせたモデル。上側のラインと下側の丸みが、フレンチヴィンテージを思わせるクラシックな表情をつくります。

使われているのは8mm厚の生地です。横から見ると、フロントの厚みと、後方へ伸びるテンプルの形がはっきり分かります。正面の大きさだけで主張をつくるのではなく、奥行きを持たせて存在感を出しているのです。
col.E02のブラックは、磨かれた面に光が映り込み、厚みの輪郭を際立たせます。丸い形の穏やかさと、黒い生地の力強さを一緒に楽しめる一本です。
archive04 col.E55|透明な厚みと、テレビジョンカット

archive04は、角をやわらげたウェリントンシェイプです。フロントには8mm厚のバイオアセテートを使用。丸みのある輪郭と、クリアベージュの色合いが特徴です。

レンズの周囲には、斜めに面を落としたテレビジョンカットを施しています。外側の輪郭とレンズの間にもう一つ面が生まれ、光の当たる方向によって明暗が変わります。正面の形に加え、削り方による立体感も見どころです。
同じ8mm厚の生地を使うarchive01と比べると、色と形の違いがよく分かります。ブラックは輪郭と艶をはっきり見せ、クリアベージュは生地を通る光で厚みを見せる。archive04は、透明感が立体的な仕上げを引き立てるモデルです。
archive12 col.E55|丸みに小さな角度を加える、ストロベリーシェイプ

メタルフレームのarchive12は、丸い輪郭を基本に、外側の上部を少し持ち上げたストロベリーシェイプ。下側へ向かって絞られる形が、ラウンドとは違う表情をつくっています。
col.E55は、ホワイトゴールドカラーのメタルに、クリアベージュのテンプルを組み合わせています。金属の繊細な光沢と、透明な樹脂のやわらかい色合いを楽しめる構成です。

フロントの両端にあるヨロイは、外側へ伸びる途中で面の向きが変わる立体的な形です。そこからテンプルへつながる線にも一体感があります。アセテートの厚みを見せるarchive01やarchive04に対して、archive12は細い金属の形の変化を味わえるモデルです。
素材を知ると、デザインを見る楽しさが増す
木から始まった素材開発、透明な生地の奥行き、メタルとアセテートの太さの違い、厚いフロントに施すカット。WAITING FOR THE SUNの眼鏡には、近くで見るほど気づける工夫があります。素材の背景と、形や色の面白さ。その両方を楽しみながら、日々の一本に取り入れていただきたいブランドです。