UNILIGHTのU5S-BLとU5S-BLN。オリーブ色のストラップを備えたシルバーとブラックの腕時計

UNIMATICとは|設立の背景、デザインと時計づくりを徹底解説

UNIMATIC(ウニマティック)は、2015年にイタリアで設立された時計ブランドです。ダイバーズウォッチやミリタリーウォッチを基礎に、装飾を抑えた文字盤と、厚みのあるケースを組み合わせています。時刻の読みやすさ、防水性、日々使う道具としての丈夫さを、簡潔なデザインにまとめているのが特徴です。

創設したのは、ミラノ工科大学で工業デザインを学んだ2人のデザイナー。時計好きとしての視点と、形・素材・使い方を考えるプロダクトデザインの視点が、UNIMATICのものづくりを支えています。設立の背景から定番モデルの造形、日本限定JDM、立体的な蓄光インデックスを備えたUNILIGHTまで、その特徴を詳しく見ていきます。

UNILIGHTのU5S-BLとU5S-BLN。オリーブ色のストラップを備えたシルバーとブラックの腕時計
UNILIGHT。シルバーのU5S-BLと、ブラックDLC仕上げのU5S-BLN。 写真:UNIMATIC/公式サイト

01 / ORIGIN & DESIGNERSUNIMATICの設立と、2人のデザイナー

工業デザインと、腕時計への共通の関心

UNIMATICの創設者は、ジョヴァンニ・モーロ(Giovanni Moro)と、シモーネ・ヌンツィアート(Simone Nunziato)です。2人はミラノ工科大学で出会い、工業デザインを学ぶなかで腕時計への関心を共有しました。

UNIMATIC創設者のシモーネ・ヌンツィアートとジョヴァンニ・モーロのポートレート
左:シモーネ・ヌンツィアート。右:ジョヴァンニ・モーロ。 写真:UNIMATIC/公式サイト

工業デザインが扱うのは、見た目だけではありません。素材をどう使うか、どのように組み立てるか、手に取ったときにどう感じるか。量産される道具の形を、使う人の行動と結びつけて考える分野です。UNIMATICの時計にも、視認性の高い針、大きなリューズ、丈夫なケースという、用途を理解しやすい要素が揃っています。

シモーネはブランドの製品撮影も手がけてきました。時計の微細なディテールを伝えるため、焦点位置を変えた複数の写真を合成する撮影方法も取り入れています。文字盤や金属の仕上げをどう見せるかまで、デザインに携わる本人が関わっている点も、このブランドを知る手がかりになります。

出典:UNIMATIC|創設者シモーネのインタビュー

ブランド名に込めた「個性」と「自ら動くもの」

UNIMATICという名前は、イタリア語のUNICOと、ギリシャ語のAUTOMATOSを組み合わせた造語です。前者は唯一のものや個性を、後者は自ら動くことを表します。

名前には、時計の機構と独自のデザインへの関心が込められています。一方、現在の製品には自動巻きだけでなく、電池で動くクォーツやメカクォーツもあります。モデルの用途に合わせて機構を使い分けることが、ブランドの実用性につながっています。

出典:SDI|UNIMATIC ブランド紹介

最初のダイバーズウォッチから、5つの基本形へ

2015年に登場した最初の時計は、Modello Uno U1-A。300本限定で発売されたダイバーズウォッチでした。その後、用途とケースの形を変えながら、コレクションを広げています。

UNIMATICの基本モデルと登場年
モデル 基本となる考え方
2015 Modello Uno 回転ベゼルを備えたダイバーズウォッチ
2016 Modello Due ヴィンテージのフィールドウォッチに着想したケース
2018 Modello Tre 時間を計測するクロノグラフ機能を追加
2020 Modello Quattro 固定ベゼルと、道具らしい力強い輪郭
2023 Modello Cinque ブランド初の36mmケース

Uno、Due、Tre、Quattro、Cinqueは、イタリア語の1から5にあたります。この数字は、価格や性能の順位ではなく、基本となるモデルの名前です。同じ基本形から、文字盤や仕上げ、ムーブメントを変えたさまざまな仕様が生まれています。

出典:UNIMATIC|ブランドの歩み

02 / CONCEPT & CRAFTデザインテーマと、ものづくりの考え方

文字盤の情報を整理し、必要なものを大きく見せる

UNIMATICを象徴するのは、黒い文字盤、淡い色のインデックス、幅のある針です。インデックスとは、時刻を示す目印のこと。CLASSICでは大きな数字を並べず、丸・長方形・三角形で位置を示しています。

UC1の文字盤。12時の三角形、丸いインデックスと幅のある針
UC1。黒い余白を残し、針と時刻の目印を際立たせている。

12時位置の三角形は、文字盤の上下をつかむ目印になります。幅のある時針と分針は、中央付近を黒くすることで、淡い色の部分が浮かんで見える構成です。ロゴと短い文字表記は6時側へ小さくまとめられ、針やインデックスの周囲には黒い余白が残ります。

余白があるからこそ、針の長さ、インデックスの間隔、ケースの太い縁がよく見えます。UNIMATICのシンプルさは、線を細くすることだけで生まれるものではありません。大きな要素を少数に絞り、それぞれの形をはっきり見せるデザインです。

イタリアで設計・組立・検査を行う

UNIMATICは、イタリアでのものづくりを基礎にしています。2021年にはミラノ近郊で組立と検査を内製化し、設計から完成品の確認までを管理する体制を整えました。

時計を動かすムーブメントには、日本やスイスのメーカーの製品を採用しています。CLASSICのUC1・UC2・UC4には日本製NH35A、UNILIGHTにはスイスのSellita製SW200-1を搭載。イタリアのデザインと組立に、用途に適した機構を組み合わせています。

ケースには耐食性に優れた316Lステンレススチール、風防には傷が付きにくいサファイアクリスタルを用いたモデルが揃います。風防の内側に施す反射防止コーティングも、文字盤を読みやすくするための仕様です。

UC1のケース側面。ブラッシュ仕上げの金属面とリューズ、ベゼル外周の刻み
UC1の側面。平らな金属面と、ベゼル外周の細かな刻み。

同じステンレスでも、細かな筋目をつけるブラッシュ仕上げと、粒子を当ててつやを抑えるサンドブラストでは表情が変わります。側面の平らな部分、ベゼル外周の細かな凹凸、リューズの丸い端面。素材の加工が、そのまま時計の外観をつくっています。

出典:UNIMATIC|製造体制コレクションの仕様U5S-BL 技術仕様

定番のCLASSICと、本数を限定したエディション

CLASSICは、UNIMATICの基本的なデザインを継続して展開する定番ラインです。UC1、UC2、UC3、UC4があり、黒い文字盤や淡いグリーンの蓄光など、共通の色使いでケースと機能の違いを見せています。

一方、限定エディションは、モデルごとに生産本数と仕様が定められています。文字盤の色、ケースの素材や表面処理、コラボレーション先の意匠など、同じ基本形のなかで異なる表現を試みます。定番と限定の両方があることが、UNIMATICのコレクションを理解するポイントです。

裏蓋に入る個別番号も特徴のひとつ。CLASSICは年ごとの生産分に番号が振られ、限定モデルでは決められた本数のなかで個体を区別します。番号が入っていることと、販売本数が限定されていることは、分けて捉えると分かりやすくなります。

UC1の裏蓋。羅針盤をモチーフにした模様と中央の刻印
UC1のケースバック。羅針盤をモチーフにした「Rosa dei venti」の意匠。 写真:UNIMATIC/公式サイト

出典:UNIMATIC|CLASSICと各ラインの構成

時計の枠を広げるコラボレーション

コラボレーションも、UNIMATICの活動の一部です。MoMA、Disney、自動車メーカーのMorgan、日本の茶筒メーカー・開化堂など、分野の異なる相手と時計を制作してきました。

共通のケースや文字盤の構成があると、小さな変更も印象に残ります。色を変える、文字を加える、素材を替える。その違いを受け止められる余白が、UNIMATICのデザインにはあります。限定仕様を見比べると、基本形の明快さがよく分かります。

出典:UNIMATIC|コラボレーションとパートナーシップ

03 / FORM & FUNCTION写真で見る、形と機構の特徴

UNO|回転ベゼルがつくる、ダイバーズウォッチの輪郭

CLASSIC UNO / UC1は、ブランドの出発点となった形を知るためのモデルです。ケース径は40mm。周囲のベゼルを含む外径は41.5mmで、ベゼルがケースからわずかに張り出しています。

CLASSIC UNO UC1の正面。黒いベゼルと文字盤、ナイロンストラップ
CLASSIC UNO / UC1。ケース径40mm、ベゼル外径41.5mm。

ベゼルには一般的なダイバーズウォッチのような数字を並べず、12時位置に丸い目印をひとつ配置しています。黒いリング状の面が広く残り、内側の文字盤がくっきりと見えます。外周の細かな刻みは、指で回すための形です。

このベゼルは120クリックの逆回転防止式。目印を分針の位置に合わせると、時間の経過を読み取れます。逆方向へ回らない構造は、不意に動いた際に経過時間を短く見積もることを防ぐ、ダイバーズウォッチの基本的な工夫です。

UC1は300m防水を備えた自動巻き。黒いナイロンストラップも含め、色数を絞ったなかに機能を収めています。写真を見ると、ベゼル、文字盤、ストラップの黒が続き、その間にステンレスの縁だけが現れる構成が分かります。

DUEとQUATTRO|固定ベゼルでも、印象は異なる

CLASSIC DUE / UC2CLASSIC QUATTRO / UC4は、どちらもベゼルが回転しないモデルです。UC2はケース径38mm、UC4は40mm。同じ黒い文字盤でも、周囲の金属の形と風防の高さによって印象が変わります。

CLASSIC DUE UC2の斜めからの写真。曲面の風防と黒いストラップ
CLASSIC DUE / UC2。38mmケースとドーム型風防。
CLASSIC QUATTRO UC4の斜めからの写真。幅のある固定ベゼル
CLASSIC QUATTRO / UC4。40mmケースと太い固定ベゼル。

UC2は、左右のバランスを整えたケースに、盛り上がりのあるダブルドーム型サファイア風防を組み合わせています。文字盤の周囲には細い金属の縁が見え、斜めから見ると風防の曲面が際立ちます。ヴィンテージのフィールドウォッチを思わせる、まとまりのある形です。

UC4は、太い固定ベゼルとフラットな風防が特徴です。正面の金属面が広く、リューズを守るガードもあるため、UC2より骨太な輪郭に見えます。UC1のダイバーズウォッチらしいケース構成を、回転ベゼルのない形へ展開したモデルです。

両モデルともNH35A自動巻きムーブメントと300m防水を備えています。機構や基本性能が近くても、風防の曲率とケースの面積が変わると、腕時計の表情は大きく変わります。

TRE|計測機能を加えた、2つの小さなダイヤル

CLASSIC TRE / UC3は、クロノグラフ機能を備えたモデルです。クロノグラフとは、通常の時刻表示に加えて経過時間を計測する仕組み。文字盤に2つの小さなダイヤルを持ち、ケース右側には操作用のプッシャーが加わります。

UC3の文字盤の接写。左右のサブダイヤルと淡い色のインデックス
CLASSIC TRE / UC3。2つのサブダイヤルを黒い文字盤に収めている。

搭載するのは、VK64メカクォーツムーブメントです。電池とクォーツで時を刻み、クロノグラフの作動に機械式の仕組みを組み合わせています。ゼンマイで動く自動巻きとは異なり、電池交換を前提とした機構で、電池寿命の目安は約3年です。

ケース径40mm、ベゼル外径41.5mm、300m防水という仕様に、計測の機能を加えています。小さなダイヤルも黒で統一されるため、正面では針と淡い色のインデックスが先に目に入り、細部へ視線を移すと計測表示が見えてきます。

出典:UNIMATIC|UC3 技術仕様

機械式・クォーツ・メカクォーツを使い分ける

UNIMATICの時計は、外見が似ていても、動かす仕組みが異なります。自動巻きは腕の動きでゼンマイを巻き上げ、クォーツは電池で駆動します。メカクォーツも電池を使いますが、クロノグラフの操作に機械式の構造を取り入れています。

代表モデルに搭載される機構
モデル 機構 駆動の目安
UC1・UC2・UC4 NH35A/自動巻き パワーリザーブ約41時間
UC3 VK64/メカクォーツ 電池寿命約3年
UT4-JDM・UT5-JDM VH31A/クォーツ 電池寿命約2年
U5S-BL・U5S-BLN Sellita SW200-1/自動巻き パワーリザーブ最低38時間、標準約41時間

パワーリザーブは、十分に巻き上げたゼンマイで動き続ける時間の目安です。電池寿命とは意味が異なり、いずれも使用状況によって変わります。

JDM|日本限定モデルに見る、色と耐衝撃構造

JDMはJapanese Domestic Marketを意味する、日本向けの限定モデルです。2025年に登場したUT4-JDM「URBAN EXPLORER」とUT5-JDM「CONCRETE JUNGLE」は、それぞれ50本限定で製作されました。

UT4-JDMの正面。ガンメタル色のケースとダークオリーブのストラップ
UT4-JDM / URBAN EXPLORER。40mm、日本限定50本。
UT5-JDMの斜めからの写真。サンドブラストのケースとグレーのストラップ
UT5-JDM / CONCRETE JUNGLE。36mm、日本限定50本。

UT4-JDMは40mmケースをマットなガンメタルで仕上げ、ダークオリーブのストラップを組み合わせています。黒よりも少し明るい金属色に、落ち着いた緑を加えた配色です。UT5-JDMは36mm。クールグレーの文字盤とストラップ、サンドブラスト仕上げのケースで、全体を明るいグレーにまとめています。

どちらもVH31Aクォーツムーブメントを搭載し、360°耐衝撃保護システムを備えます。特殊な配合のTPUという樹脂でムーブメントを包み、文字盤側にも保護リングを設ける構造です。外から見えるケースの厚みだけでなく、内部でも衝撃を受け止める工夫をしています。

このシステムの検証では、UT4の試験個体5本を1.22mの高さからコンクリート面へ各26回落下させ、試験後も機能に問題がなかったことが報告されています。こうした具体的な試験が、ツールウォッチとしての設計を支えています。

出典:UT4-JDM 技術仕様UT5-JDM360°保護システムとUT4の試験

UNILIGHT|蓄光インデックスを、立体的な部品にする

UNILIGHTは、文字盤上に立体的な蓄光インデックスを配置したシリーズです。U5S-BLとU5S-BLNは、どちらもModello Cinqueの36mmケースを採用。インデックスをひとつずつ取り付けることで、平面的なプリントとは異なる奥行きを生み出しています。

U5S-BLの文字盤の接写。厚みのある白いUNILIGHTインデックス
U5S-BL。文字盤から立ち上がるインデックスの側面が見える。
U5S-BLの蓄光イメージ。暗い背景に発光するインデックスと針
U5S-BLの蓄光イメージ。発光の強さは光の当たり方や経過時間で変わる。 写真:UNIMATIC/公式サイト

明るい場所では、インデックスの厚みと側面が見え、光が当たる向きによって小さな陰影が生まれます。暗い場所では、蓄えた光を放つ部分が時刻の目印になります。日中の立体感と暗所の視認性を、同じ部品でつくっているところが特徴です。

U5S-BLはブラッシュ仕上げのステンレス、U5S-BLNはブラックDLC仕上げです。両方ともオリーブ色のストラップを組み合わせます。シルバーのケースでは金属の縁が明るく見え、ブラックでは文字盤からケースまで暗い色が続き、インデックスの白さが際立ちます。

U5S-BLNの斜めからの写真。ブラックDLCケースとオリーブのストラップ
U5S-BLN。ブラックDLC仕上げのケースに、オリーブ色を組み合わせた仕様。

ムーブメントはスイス製Sellita SW200-1で、300m防水。ケース径36mmに対して、ストラップを取り付ける幅は22mmです。小ぶりなケースに幅のあるストラップを組み合わせるため、コンパクトでもしっかりした見た目になります。生産本数は2モデルそれぞれ300本です。

出典:UNIMATIC|UNILIGHTU5S-BL 技術仕様U5S-BLN 技術仕様

蓄光と防水も、見た目を支える機能

CLASSICのインデックスや針に使われるSuper-LumiNovaも、光を蓄えて暗い場所で発光する素材です。黒い文字盤に淡い色を置く配色は、日中のコントラストを高めるとともに、暗所で時刻を読むための形にもつながっています。

UC1の蓄光イメージ。丸や三角のインデックスと針が発光している
UC1の蓄光イメージ。明るい場所で光を蓄え、暗所で時刻の目印になる。 写真:UNIMATIC/公式サイト

防水性は、ケース本体だけでなく、ねじ込み式の裏蓋やリューズ、内部のパッキンによって確保されます。UC1・UC2・UC3・UC4、JDMの2モデル、UNILIGHTの2モデルはいずれも300m防水。大きなリューズや厚みのあるケースも、実用上の役割を持った形です。

水に触れる前にはリューズを確実に締め、水中でリューズやプッシャーを操作しないことが基本です。防水性を長く保つためにも、使い方と定期的な点検は欠かせません。

UNIMATICの特徴は、こうした機能を持つ時計を、日常の服装に取り入れやすい姿に整えていることです。ケースの幅、金属のつや、ストラップの色、文字盤の余白。眼鏡の形や素材を見比べるときのように、細部の違いから自分の好みに合う一本を見つけられるブランドです。