SATOとは|デザイナー、名前の由来、日本製フレームの特徴を解説
SATO(サトー)は、2022年にフランス・パリで誕生したアイウェアブランドです。1990年代のファッションやカルチャーに着想を得た大胆なデザインを、日本の職人による緻密なものづくりで形にしています。小ぶりなレンズと立体的なブリッジ、透明感のあるアセテート、細かな装飾を施した金属パーツが特徴です。
創設者のケヴィン・ゴダール=エルバズと、日本人デザイナーのEque。フランスで生まれたブランドの構想を、日本のデザインと製造技術が支えています。ブランド名の由来から素材の使い分けまで、その背景とプロダクトの特徴を紹介します。

01パリでの設立と、日本人デザイナーEque
SATOを立ち上げたのは、Kevin Godart-Elbaz(ケヴィン・ゴダール=エルバズ)。眼鏡の小売に携わってきた経験を持ち、2022年に自身のブランドを始めました。ブランドの国はフランス、製造の拠点は日本という組み合わせです。
デザインを担うのは、日本人デザイナーのEque(イークエ)。自身の名を冠した「Eque.M」を手がけ、2005年に始まった「Frency & Mercury」の創設者でもあります。
Equeはカリフォルニアのオレンジカウンティで眼鏡の仕事を経験しました。サーフィンや現地の文化、自然の色や形から刺激を受け、日本へ戻って自身のブランドを設立。顔の印象をつくるアイウェアを、ファッションの重要な要素として捉えてきたデザイナーです。
SATOでも、その仕事はフレームの形だけにとどまりません。テンプルの芯金や接合部、耳に掛かる先端にまで意匠を加え、正面と横顔のどちらにも見どころをつくっています。
Equeの経歴:Eque.M公式プロフィール
02SATOという名前に込められた二つの意味
SATOという名前には、日本の名字である「佐藤」と、フランス語の「Sans Art, le Talent est Oublié」という言葉が込められています。
「佐藤」は、製造を支える日本の職人への敬意を表すもの。もう一方のフランス語は「芸術なくして才能は忘れ去られる」という意味で、主要な語の頭文字がS・A・T・Oになります。技術を磨くことと、独自の形を生み出すこと。その両方を大切にするブランドの姿勢を示しています。
031990年代の自由な発想を、精密な形に
SATOのデザインの出発点は、1990年代の美意識です。整ったクラシックな形を土台にしながら、型にはまらない色やバランスを取り入れています。
たとえば、横長の小さなオーバルに幅のあるブリッジを合わせる。落ち着いた赤のフレームに淡いブルーのレンズを入れる。細い金属の輪郭に、存在感のある接合部を組み合わせる。形、色、パーツの大きさに差をつけることで、見慣れた眼鏡の形にも個性が生まれます。

もう一つの軸が、建築的なラインと構造です。フレームに厚みを残す場所と細くする場所をつくり、レンズの周囲やブリッジを立体的に構成しています。正面ではすっきり見えるメタルフレームも、角度を変えると奥行きや部品の組み合わせが分かります。
装飾にも細かな工夫があります。テンプルに並ぶ筋状のライン、フロントの小さな菱形、先端のモチーフ。大きなロゴを見せるだけでなく、近くで見たときに気づく部分まで形を整えることが、SATOのデザインにつながっています。
ブランドコンセプト:SATO公式 About Us
04福井での製造と、素材を生かす仕上げ
SATOのフレームは、日本・福井の職人によって製作されています。日本製アセテートやチタンを使い、フロントの造形から金属パーツの細部まで作り込んでいます。

日本製アセテートの厚みと透明感
アセテートのモデルでは、磨いた表面の艶と、生地を透かして見える色が重要な役割を持ちます。GIENNAのようにフロントとテンプルを異なる色で構成したものや、ALTAIRのように深い赤と金属パーツを組み合わせたものもあります。
透明なテンプルでは、内部を通る金属芯も外観の一部になります。芯金はテンプルを支える部品ですが、SATOではそこにも細い線の装飾を施しています。構造を隠すだけでなく、見える部分として仕上げる考え方です。
チタンと樹脂のインサートを組み合わせる
チタンのモデルには、レンズを囲むリムの内側にタキロン製のインサートを組み込んだものがあります。金属のフレームとレンズの間に樹脂の輪を加える構造で、NAOSではオリーブ、ALGEDI-Tではダークブルーが使われています。
金属だけの細い線に、樹脂の色と厚みが加わるのが特徴です。アンティーク調、マット、ブラッシュといった仕上げの違いも、金属の見え方を変えます。ブラッシュ仕上げは表面に細かな筋目を残す加工。鏡のような光沢とは異なる、落ち着いた反射をつくります。
一本ずつ番号を持つ限定生産
SATOは数量を限定し、シリアルナンバーを付けてコレクションを展開しています。限定数はモデルによって異なり、たとえばGIENNAは350本、ATRIAは400本。素材や造形とともに、生産の単位にもブランドの方針が表れています。
製造・仕様:SATO公式 Craftsmanship/GIENNA/ATRIA
05接写で見る、SATOのプロダクト
GIENNA|透明なテンプルに見える装飾入りの芯金
GIENNA col.SP-1は、くすんだグリーンのフロントと、淡いイエローの透明なテンプルを組み合わせたモデル。上部に直線を残し、下部には丸みを持たせた形です。フロント両端の菱形の飾りが、厚みのある輪郭のアクセントになっています。


横から見ると、テンプルの中に金色の芯金が長く続いています。接写では、芯金の表面に何本もの細いラインが刻まれているのが分かります。淡い生地だからこそ、内部の意匠までよく見える一本です。
オリーブのグラデーションレンズは、グリーンのフロントから自然につながる配色。フロント、テンプル、レンズを同じ色に揃えず、透明度や明るさを変えて構成しています。
ALTAIR|小ぶりなオーバルと、金属の接合部
ALTAIR col.RC/P-1は、レンズ幅42mmの横長のオーバル。深い赤のアセテートに、淡いブルーのレンズを組み合わせています。小さなレンズに対して中央のブリッジを広く取り、フロントの左右に余裕を持たせたバランスです。


注目したいのは、フロントとテンプルをつなぐ部分。アセテートの間に磨かれた金属パーツが入り、サイドに光沢を加えています。レンズの周囲はふっくらとした厚みを残し、接合部では輪郭を絞る。その形の変化が、オーバルの丸さを引き立てます。
NAOS・ALGEDI-T|小さな輪郭の中に組み込まれた構造
NAOS col.AB/O-1は、レンズ幅40mmの小ぶりなラウンド。アンティークブロンズのチタンに、オリーブ色のインサートを組み合わせています。

裏側から見ると、レンズを囲む輪、中央のブリッジ、独立した鼻パッドの位置関係がよく分かります。フロントを平たい一枚の形で終わらせず、部品ごとに前後の位置を変えて組み立てている点が特徴です。
ALGEDI-T col.BB/B-1は、丸みのあるレンズを黒いチタンとダークブルーのインサートで囲んだモデル。同じ黒でも、マットな面と筋目のある面があり、光の当たり方で質感の差が見えます。


テンプルの先端に目を向けると、幅を持たせた金属部分にも細いラインが入っています。細身のテンプルから少し広がる形と、表面の加工を組み合わせたディテールです。正面では控えめなフレームでも、手に取ると細部の密度を感じられます。
SATOの魅力は、印象的な輪郭と、近くで見たときの精密さにあります。色やレンズの形に加え、ブリッジ、芯金、接合部、テンプルの先端へと目を向けると、一本の中にある工夫が見えてきます。