JACQUES MARIE MAGE by HAIDER ACKERMANN:MELCHIOR公式キャンペーン

JMM × ハイダー・アッカーマン|MELCHIOR col.VANTAの造形と、デザイナーの軌跡

JACQUES MARIE MAGE by HAIDER ACKERMANN

JACQUES MARIE MAGE(ジャック・マリー・マージュ/JMM)は、2014年にロサンゼルスで設立されたアイウェアブランドです。厚みのある素材を立体的に削り出したフレームと、少量限定のものづくりで知られています。今回ご紹介するMELCHIOR col.VANTAは、ファッションデザイナーのハイダー・アッカーマンと共同で手がけたスペシャルコレクションの一本です。

横長のスクエアシェイプ、磨かれた黒いフロント、光を受けて浮かぶテンプルの金属装飾。MELCHIORには、服の輪郭や素材の表情を細かく整えてきたアッカーマンの感覚が感じられます。彼がどのような仕事をしてきた人物なのかをたどりながら、このモデルの造形とVANTAの仕上げを見ていきます。

ハイダー・アッカーマン:本コレクションを共同で手がけたファッションデザイナー。TOM FORDのクリエイティブ・ディレクター。

ジェローム・マージュ:JMMの創業者、クリエイティブ・ディレクター。

スティーヴン・クライン:今回の公式キャンペーンを撮影した写真家。

ローレン・ハットン:今回の公式キャンペーンに登場するモデル。

ハイダー・アッカーマンとは

ハイダー・アッカーマン本人。ストライプのジャケットとスカーフを着用
ハイダー・アッカーマン。出典:JMM公式インタビュー「OBJECTS OF DESIRE」。画像提供元:JACQUES MARIE MAGE。

ハイダー・アッカーマンは、コロンビアのボゴタに生まれたフランス人デザイナーです。アフリカとヨーロッパの複数の国で育ち、ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学びました。自身の名を冠したブランドを通じて、パリでコレクションを発表してきました。

彼の服で目を引くのは、シャープな仕立てと、身体に沿って落ちる柔らかな布の組み合わせです。端正なジャケットに深いV字の胸元を合わせる。光沢のある生地に、起毛した素材を添える。線をきれいに見せながら、着た人の動きや肌の見え方も大切にしています。

HAIDER ACKERMANN 2015年秋冬コレクション。深いV字の胸元、ドット柄の襟、白いステッチを使った黒い服
HAIDER ACKERMANN 2015年秋冬、ショーのバックステージ。Photo: Mark Leibowitz / Aveda Corporation。Wikimedia Commons / CC BY 2.0。内容の改変なし。

この2015年秋冬の写真でも、その特徴が分かります。黒を中心にまとめた服の中で、深く開いた胸元、細かなドット、白いステッチがそれぞれ違う線をつくっています。色数を絞っても、縁の処理や素材の違いで見どころをつくる。その手つきは、黒いフレームの面や装飾に注目する際にも興味深いものです。

受賞歴と、これまで手がけてきたブランド

2004年にはSwiss Textiles Awardを受賞。2010年にはフィレンツェのPitti Wでゲストデザイナーを務め、メンズウェアを披露しています。その後の仕事は、紳士服、オートクチュール、スポーツウェアへと広がりました。

自身のブランド HAIDER ACKERMANNとしてパリでコレクションを発表。テーラリングとドレープ、異なる素材の組み合わせを追求。
Berluti
2016–2018年
クリエイティブ・ディレクターを担当。靴づくりを出発点とするパリのメゾンで、メンズコレクションを手がける。
FILA
2022年
コラボレーションコレクションをマンチェスターのショーで発表。
Jean Paul Gaultier
2023年春夏
ゲストデザイナーとしてオートクチュールコレクションを担当。
Canada Goose
2024年就任
ブランド初のクリエイティブ・ディレクターに就任。Snow Gooseコレクションなどを手がける。
TOM FORD
2024年就任
メンズ、ウィメンズ、アクセサリー、アイウェアを含むファッション分野を統括。2025年3月に初のコレクションを披露。

経歴は2026年9月時点の公式発表・公開資料に基づく。主な出典は記事末尾に掲載。

Jean Paul Gaultierで見せた、クチュールの仕事

なかでも2023年春夏のJean Paul Gaultierは、アッカーマンの服づくりを知るうえで見ておきたいコレクションです。シーズンごとに招かれるゲストデザイナーとして、メゾンのオートクチュールを手がけました。

以下はブランド公式のショー映像です。静止画だけでは分かりにくい、生地の落ち方や歩いたときのシルエットも確認できます。

映像:Jean Paul Gaultier公式。YouTubeで見る / 公式LOOKを見る

JMMとのコラボレーションは、どこから始まったのか

JMMの公式インタビューによると、アッカーマンが最初にブランドを意識したのは、カフェで見かけた人のサングラスでした。後日、友人が掛けていた印象的な眼鏡について尋ねた際にも、同じJMMの名前を聞いたといいます。繰り返し目にした眼鏡への関心が、ブランドとの対話につながりました。

彼が評価したのは、一本一本の線や細部が考え抜かれていること。一方、自身はもっと自由で、肩の力が抜けた感覚を持つと語っています。精密なフレームづくりに、アッカーマンの遊び心を加える。その関係から生まれたのが、「JACQUES MARIE MAGE by HAIDER ACKERMANN」です。

中心となるのは3つのモデル。アセテートの横長スクエアMELCHIOR、丸いフロントと細いチタンテンプルを組み合わせたBALTHAZAR、ベータチタンを用いた直線的なGASPARDです。素材と形を変えながら、それぞれに異なる表情を持たせています。

JMM by HAIDER ACKERMANNのMELCHIOR公式LOOK。青い照明の中、帽子とジャケットにサングラスを合わせたローレン・ハットン
MELCHIOR公式キャンペーン。Photography: Steven Klein / Starring: Lauren Hutton。© JACQUES MARIE MAGE。公式コレクション。LOOKはコレクションの着用イメージです。

公式キャンペーンでは、ローレン・ハットンをスティーヴン・クラインが撮影。帽子、シャツ、ネクタイを使った装いの中でも、MELCHIORの横に伸びる輪郭がはっきりと見えます。服をしっかり着込んだスタイルにも埋もれない、フロントの存在感が伝わるLOOKです。

MELCHIOR col.VANTAを、細部から見る

横長の輪郭と、ブロウラインのカッティング

MELCHIOR col.VANTAの正面。横長のスクエアシェイプと角のあるブロウライン
MELCHIOR col.VANTA。商品写真:DOWNTOWN。

MELCHIORの第一印象を決めるのは、縦幅を抑えたスクエアシェイプです。レンズ幅は54mm、レンズの縦幅は32mm。左右へ伸びる輪郭が、目元をすっきりと引き締めます。

さらに、フロント上部には大きく面を落とすカッティングが入っています。上から光が当たると、磨かれた面に細いハイライトが走ります。正面の黒い輪郭と、斜めから見た立体感。その両方を楽しめる設計です。

MELCHIOR VANTAのブロウライン。面を落とした上部と艶のある黒いアセテート
ブロウラインの面取り。平らな正面から上面へ切り替わる部分に、光が細く反射します。商品写真:DOWNTOWN。

素材は10mm厚の植物由来アセテート生地。そこからフロントを削り出し、日本で製作されています。10mmは使用する生地の厚みを示すもので、完成したフレームのすべての部分が同じ厚みという意味ではありません。

VANTAの黒は、横顔で表情が変わる

VANTAは、磨き上げたブラックのフロントに、外側がクリアグレー、内側がブラックの二層構造のテンプルを合わせています。正面からは力強い黒に見え、斜めや横から光を受けると、透明感や芯金の線が見えてきます。

MELCHIOR col.VANTAの斜め側面。ブラックのフロントから立体的なテンプルへ続く形
斜めから見たVANTA。テンプルにも面を切り替える造形が続いています。商品写真:DOWNTOWN。

テンプルのメタル装飾は航海をモチーフにした専用のデザインです。ここも艶のあるブラックで統一。明るい金属色を大きく見せず、表面の反射と細い溝で装飾を浮かび上がらせています。

テンプル外側のブラックのメタル装飾と細い線刻
ブラックのメタル装飾。商品写真:DOWNTOWN。
MELCHIORの7枚蝶番とテンプル内側の金属部
専用の7枚蝶番と内側のディテール。商品写真:DOWNTOWN。

芯金はシルバーパラジウム仕上げ。蝶番にはヘアラインの意匠を施した専用の7枚蝶番を採用しています。外側の黒い装飾、内側の細かな金属部、透明感のあるアセテートを見比べると、パーツごとに仕上げを変えていることが分かります。

MELCHIORのテンプル内側にシルバーで箔押しされたハイダー・アッカーマンのサイン
テンプル内側にはアッカーマンのサインをシルバーで箔押し。商品写真:DOWNTOWN。

ULTRA BLACK MIRRORレンズと、450本の限定生産

レンズにはULTRA BLACK MIRRORを採用。深い色調と鏡面の反射が、艶のある黒いフロントとよく合います。2カーブのレンズで、裏面には反射防止コートが施されています。

標準レンズについて
可視光線透過率は6%、フィルターカテゴリーは4です。JMM公式は道路での使用・運転には適さないと明記しています。運転用としてはお使いいただけません。レンズ交換をご希望の場合は、商品ページのオプションまたは店舗へご相談ください。

VANTAは世界450本の限定生産。コラボレーション専用のサインや金属装飾に加え、ボックスセットも用意されています。パイソン柄の外装、ケース、クリーニングクロス、記念のシルクスカーフ、活版印刷の証明書まで、眼鏡以外の部分にもコレクションの意匠が使われています。

ハイダー・アッカーマンのサインをあしらったコラボレーション専用ボックス
コラボレーションの専用ボックス。画像:DOWNTOWN商品ページ掲載。
黒地にドットとサインをあしらったコレクションのスカーフ
ドット柄の記念スカーフ。画像:DOWNTOWN商品ページ掲載。

MELCHIOR col.VANTAの仕様

コレクション JACQUES MARIE MAGE by HAIDER ACKERMANN
モデル / カラー MELCHIOR / VANTA
生産国 / 生産数 日本 / 世界450本限定
サイズ 54□18–142
フロント全幅145mm、レンズ縦幅32mm(公式公表値)
フレーム 10mm厚の植物由来アセテート生地を使用。二層構造のテンプル、専用7枚蝶番
標準レンズ ULTRA BLACK MIRROR / 2カーブ / 裏面反射防止コート / UVカット
可視光線透過率6%、カテゴリー4。道路使用・運転不可

黒いサングラスを掛けたときの、目元を引き締める効果。その印象を、横長の輪郭と細かな面取りでより明確にしたのがMELCHIOR col.VANTAです。横顔に見える装飾や内側のサインまで、手に取って確かめたくなる一本に仕上がっています。

MELCHIOR col.VANTA
価格・在庫・レンズオプションは商品ページでご確認いただけます。

MELCHIOR col.VANTAを見る

参考資料・画像クレジット

コラボレーション写真はJACQUES MARIE MAGEの公式素材を使用。キャンペーン撮影:Steven Klein、モデル:Lauren Hutton。過去のコレクション写真はMark Leibowitz / Aveda Corporation、CC BY 2.0。各写真の出典はキャプションに記載しています。